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株式会社セガ

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セガのデータエンジニアリングセクションは、既存の共通基盤(Databricks)と接続する環境のひとつとして『ペルソナ5: The Phantom X』にAgentic Engineを導入。削除依頼に備えた削除処理を自動化し、導入時の作業はサーバーの用意が中心で期間は1〜2ヶ月、現在の運用工数はほぼゼロに収まっています。

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「サーバーを用意しただけ」。セガのデータエンジニアが語る、削除を自動化し運用を持たない分析環境の作り方

要点

課題

既存のデータ分析基盤でも分析は可能だった。ただし『P5X』はグローバル同時発売のタイトルであり、ユーザーから削除依頼があった場合に対象データを削除できることが、導入時の必須要件だった。削除処理を手動で実施すると、担当者にとって心理的負担の大きい作業になる。

活用内容

既存の共通基盤(Databricks)と接続する環境のひとつとしてAgentic Engineを導入。セガ側はサーバーを用意し、アプリケーションの構築と運用はThinkingAIが担当した。削除依頼に備え、個人関連情報など対象データの削除処理を自動化した。

成果

導入時のセガ側の作業は、想定ユーザー数とログ量の共有、サーバー構成の確認、サーバーの用意が中心で、期間は1〜2ヶ月。現在の運用工数はほぼゼロで、情報を受け取って判断する程度に収まっている。データを移動せずに活用できるため、保管の二重コストも生じない。

基本情報

項目内容
ゲームタイトル名ペルソナ5: The Phantom X
氏名萬 和貴様
部署・役職JA Studios 第2事業本部 戦略企画部 データエンジニアリングセクション セクションマネージャー

会社・プロダクト紹介

まず、ゲームタイトルの概要を教えてください。

萬様:『ペルソナ5: The Phantom X(以下、P5X)』は、ペルソナシリーズ初のモバイル・PC向けRPG作品です。シリーズをすでに遊んだことがある方はもちろん、まだ触れたことがない方にもプレイしやすいゲームになっています。

このプロジェクトは、中国のパーフェクトワールド社とセガで共同運営し、アトラスが監修しています。配信地域もアジア、日本、グローバルと広がっているため、関係するプロジェクトメンバーは国際色豊かです。

所属されている部署とミッションを教えてください。

萬様:戦略企画部のデータエンジニアリングセクションでマネージャーを務めています。私のセクションは、データ分析基盤の開発を担当しています。当社のデータ基盤は、モバイルゲーム、PCオンラインゲーム、コンシューマーゲームの3領域に分かれており、これらの基盤をまとめて担当しています。

<萬 和貴様>

導入背景

これまでは、どんな体制とツールで回していましたか。

萬様:当社のデータ基盤には長い変遷があります。初期はMySQLにデータを入れて集計し、Hadoopが広まり始めたタイミングでHadoopを導入しました。AWSやGCPといったクラウドサービスが普及してからはAWSにデータを移し、そこで分析や可視化を進めてきました。現在は集計の部分にDatabricksを導入し、既存のデータ分析基盤を構築しています。

今回重要だったのは、当社にはすでに各タイトルのデータを横断的に扱う基盤があり、『P5X』のデータもその仕組みの中で扱いたかったという点です。Databricks環境ではセガのすべてのモバイルゲームのデータを扱っており、蓄積してきた各タイトルのデータを横串で集計する仕組みがあります。『P5X』も同じ仕組みで扱うために、Agentic Engineと接続しました。

『P5X』でAgentic Engineを導入するにあたって、特に重視した要件は何でしたか。

萬様:導入前は、既存の環境で対応する想定でした。既存の基盤に大きな問題があったから導入した、というわけではありません。

一方で、『P5X』はグローバル同時発売が決まっているタイトルです。そのため、ユーザーさんから削除依頼があった場合に、個人関連情報など対象となるデータを削除できることは、導入時の必須要件でした。

当社では、メインとなるサーバーには基本的に個人情報を入れないポリシーで運用しています。ただし、一部の関連データには削除対象となる情報が含まれる場合があります。そうしたデータに対しても削除依頼に応じて対応できることには、大きな意味がありました。削除処理を手動で実施するのは、基本的には誰もやりたがらない、非常に慎重さが求められる作業です。そこを自動化できることは、とても重要でした。

萬様が考える、理想的なデータ活用環境とはどのようなものでしょうか。

萬様:エンジニアが自分でサーバーを立てる時代は、もう終わったと思っています。基本的にはSaaS、特にAWS、Azure、GCPのような主要クラウドのフルマネージドサービスを活用し、システムやサーバーの開発・運営はできる限り自分たちで行わない。それが最適な環境だと考えています。

一方で、データ活用の環境には、どうしても人の手が介在する部分があります。特に避けたいのは、特定の人しかデータを扱えない状態です。誰でも簡単に、蓄積されたデータを検索し、活用できる環境が理想です。

選定理由・決め手

検討を始めたきっかけを教えてください。

萬様:おそらく2年以上前になりますが、最初にAgentic Engineを使ったときに感じたのは、ゲームに特化しているという点でした。最初からゲームに関するKPIが用意されており、まったくレクチャーを受けていない状態でも、すぐにグラフを作ることができました。使い勝手も良く、当時から注目していました。ただ、その時点ではすでに別のツールを導入していたため、一度は導入を見送っています。

その後、『P5X』の当時のプロデューサーにあたる方がAgentic Engineを見て、話を聞き、興味を持ったことが、改めて検討が進むきっかけになりました。

選んだポイントはどこでしたか。

萬様:ひとつは、先ほどのゲーム特化の使いやすさです。もうひとつ大きかったのは、エンジニアでなくても、ゲーム運営に携わるメンバーが自分でデータを見て、可視化できるようになる可能性を感じたことです。従来の環境では、可視化する項目は私たちの組織のアナリストが用意して提供していました。Agentic Engineであれば、運営側が自分たちで必要なデータを確認できるようになるのではないかと考えました。

もちろん、既存のツールを使えば、大きくコストを増やさずに既存の仕組みを活用できました。そのため、追加で契約して導入するかどうかは、一度検討する必要がありました。それでも導入に至ったのは、運営メンバーが自分でデータを出せるようになれば、アナリストはより高度で専門性の高い分析に時間を使えるようになるという期待があったためです。

導入プロセスと運用体制

導入はどう進めましたか。

萬様:契約後、本来であればデータエンジニアである私がサーバーを用意し、その中にアプリケーションを入れる必要があります。これは結構工数のかかる作業です。ただ、今回はThinkingAIさんが対応してくださいました。私は本当にサーバーを用意しただけで、あとはアプリケーションを全部構築していただきました。願ったり叶ったりの対応で、非常に楽をすることができました。

体制と期間はどれくらいでしたか。

萬様:期間は、おそらく1〜2ヶ月ほどだったと思います。私たちが具体的に行ったのは、ゲームの想定ユーザー数を確認し、どのくらいのログ量が発生するかを見積もったうえで、その情報をThinkingAIさんに共有することでした。その後、サーバー構成をご提案いただき、内容を確認しました。不足している部分や懸念点があれば、議論しながら進めました。

セガ側には、インフラエンジニア寄りのメンバーとしてサーバーを立てる担当者と、アプリケーション開発を担うエンジニア寄りのメンバーがいました。ただ、Agentic Engineの構築に関しては、私たちは「サーバーを立てました。あとはよろしくお願いします」というところまでで、その後の作業はすべてThinkingAIさんに対応いただいた印象です。

現在の運用体制と工数を教えてください。

萬様:Agentic Engineに対する運用工数は、ほとんどかかっていません。作業は基本的にすべてThinkingAIさんに対応いただいているため、私たちは情報を受け取り、その内容を確認して判断する程度です。社内の負担はほぼゼロに近い状況です。

活用方法

既存の共通基盤とAgentic Engineを連携させている背景を教えてください。

萬様:Databricks環境ではセガのすべてのモバイルゲームのデータを扱っており、蓄積してきた各タイトルのデータを横断的に集計する仕組みもすでに整っていました。『P5X』のデータについても、その既存の横串連携の仕組みで扱いたいと考え、Agentic Engineと接続しました。私たちのチームがAgentic Engineから取得しているのは、主に主要KPIです。

連携させたことによるメリットはありますか。

萬様:データを移動させずに、そのまま活用できるようになる点が大きなメリットです。これはデータメッシュの目的のひとつでもありますが、データを別の環境に持ってこなくても利用できます。そのため、同じデータを複数箇所で保管する必要がなくなり、保管に伴う二重コストを抑えられるようになりました。

仕組みとしては、権限さえあれば幅広いメンバーが利用できる状態になっています。ただし、生データを見て解釈できる人は社内でもそれほど多くありません。そのため、多くの場合はAgentic Engine上のグラフや表を通じてデータを確認する形になっています。

Agentic Engineの位置付けをどう捉えていますか。

萬様:私たちは、すべてを自社のシステムだけで賄うのではなく、データはそれぞれの環境に置いたまま、必要に応じて活用するという考え方で運用しています。Agentic Engineもその中のひとつで、システム全体の中では、いわば「エッジ」のひとつという位置付けです。

一方で、可視化については、従来の仕組みでは私たちが作らなければならなかった部分を、Agentic Engineがあらかじめ用意してくれています。そのため、可視化という点では、Agentic Engineを独立したサービスとして捉えています。

成果

導入後の成果について教えてください。

萬様:データエンジニアの観点で大きかったのは、削除処理を自動化できたことです。誰もやりたがらない慎重な作業を自動化していただけたことは、とてもありがたかったです。また、削除対応を前提に運用できることで、データを確認できる範囲も広がったと感じています。

運用面では、工数がほとんどかかっていないこと。そして、既存の共通基盤と接続することで、データを移動させずに活用でき、保管の二重コストを抑えられていることです。

サポート・評価

サポート体制の評価はいかがでしょうか。

萬様:改善してほしい点は特にありません。導入時も、こちらでサーバーを用意した後は、アプリケーション構築をすべて対応していただきました。運用面でも作業はThinkingAIさんに対応いただいているため、私たちは情報を受け取り、確認して判断する程度で済んでいます。

今後の展望

これから取り組みたいこと、Agentic Engineに期待することを教えてください。

萬様:AIにデータを活用させるという観点では、今後も利用していきたいと考えています。世の中はAIの時代になっています。Agentic Engineはデータを蓄積する性質を持っていますが、現状の基本機能では、その活用がAgentic Engineの画面内にとどまっていると感じています。たとえば、AIを使って自然言語で質問すると自然言語で回答が返ってくる仕組みがあると、より便利になると思います。さらに、Agentic Engine内にMCPのような仕組みを用意し、外部から問い合わせた際にAgentic Engine内のデータをもとに回答できるようになると、活用の幅がさらに広がると感じています。

また、Agentic Engineにはすでに多くのデータが蓄積され、使いやすい状態になっていると認識しています。今回、私たちは少しテクニカルな方法で直接接続していますが、今後、公式にAgentic Engine内のデータを外部から利用できる機能が用意されると非常に助かります。

最後に、Agentic Engineの導入を検討している方へメッセージをお願いします。

萬様:Agentic Engineを導入することで、どのような会社でも、すぐに分析環境を用意できます。これからデータ分析に取り組もうとしているゲーム開発者の方や、ゲーム運営に携わる方は、ぜひ検討していただければと思います。

企業紹介

株式会社セガ

家庭用ゲーム機、スマートデバイス、PC等のさまざまなプラットフォーム向けのゲーム関連コンテンツに関する企画・開発・販売・運営を手掛け、日本国内及び海外のスタジオやグループ企業が開発したゲームコンテンツを全世界に向けて提供しています。

「セガ」ブランドの『ソニック』や『龍が如く』、『ぷよぷよ』、そして「アトラス」ブランドの『真・女神転生』や『ペルソナ』など、高いIP力を持つシリーズを展開しています。これらに加え、大型オンラインタイトル『PSO2 ニュージェネシス』やスマートデバイス向けの『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』や『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』など、あらゆるデバイスに向けて多彩なゲームコンテンツを国内外へご提供しています。さらに海外においても開発・販売拠点を置き、海外市場で大きな支持を集める『Total War』や『Football Manager』をはじめ、現地のニーズを捉えた独自のコンテンツ制作を行い、全世界へ展開しています。

また、ゲーム事業を通して培ったノウハウや資産を活かし、ゲームに留まらない独創的な新規事業の展開を進めています。