会社・プロダクト紹介
まず、御社とゲームタイトル『ラストクラウディア』の概要についてお教えいただけますでしょうか?
私、株式会社アイディスで『ラストクラウディア』というタイトルのプロデューサーをしております、竹内と申します。
『ラストクラウディア』は、「古き良き往年のRPGをスマートフォンで」というコンセプトの作品です。ドット絵のキャラクターが3D空間を動き回り、濃厚なストーリーや壮大な音楽を展開するのが特徴です。現在、リリースから6.5周年を迎え、全世界33カ国でサービスを展開しております。
竹内様のプロデューサーとしてのミッションや役割について教えてください。
プロデューサーという立場ですので、『ラストクラウディア』全体の運営・開発方針の策定から、チーム全体の動きを統括するといった役割を担っています。

導入背景
ThinkingEngine導入以前は、どのような運用体制でデータと向き合っていましたか?
導入以前の最大の課題は、KPI情報が様々な場所に散在していたことでした。BIツールの「Redash」、内製のスプレッドシート、そして自社開発の管理ツールなど、複数のツールを横断して情報を収集する必要がありました。
例えば、Adjustからスプレッドシートにデータを連携したり、そこでは見られないデータを自社ツールやRedashで確認したりと、何か一つデータを見たいと思っても、あちこちからデータを引っ張ってこなければなりませんでした。
データが散在していることで、具体的にどのような問題が起きていたのでしょうか?
まず、データを取得してから分析できる形にするまでの工数が多くかかっていました。各所から集めてきたデータを自分たちで加工し、計算し、グラフ化するという一連の作業は、大きな負担となっていました。
私たちのチームには、専門のデータアナリストが在籍していません。そのため、一部のツールに知見のあるメンバーや、エンジニアにデータ抽出を依頼する形を取っていました。しかし、エンジニアに依頼するにしても、「どういうデータが欲しいのか」「具体的な定義は何か」といったコミュニケーションコストが発生します。少し認識が違うだけで、全く意図しないデータが出てきてしまうこともありました。
結果として、データ分析業務が特定のメンバーに依存する「属人化」が進んでいましたし、何よりも「欲しいデータがすぐに見られない」という時間的なロスが大きな課題でした。
もし、その状態があと半年続いていたら、どのようなリスクがあったと思われますか?
運営が完全に成り立たなくなる、ということではなかったと思います。しかし、今のゲーム業界のトレンドとして「データドリブン」は必須の流れです。データに基づいた迅速な意思決定ができないと、競争の激しい市場で競合タイトルに勝っていくことは難しくなります。
また、運営を長く続けていく上では、コスト効率の改善も重要なテーマです。データ分析にかかる工数を削減できなければ、運営コストがなかなか下がらない、という状況に陥っていたと思います。。そうした機会損失は非常に大きかったと考えています。
チームや運営にとって、どのような状態が理想だとお考えでしたか?
理想は、プロデューサーなど一部のメンバーがトップダウンで数字を見て指示を出すのではなく、現場のメンバー一人ひとりがKPI感覚を持つことです。自分たちの仕事が、どのような数値として返ってきているのかを早いスパンで確認し、自ら効果測定を行い、次のアクションを考える。そうした自律的な動きがチーム全体、ひいては会社全体でできるようになれば、強い組織になれると考えています。
以前の体制では、データを見るのが「面倒くさい」という心理的なハードルがあり、どうしても腰が重くなりがちでした。誰もが気軽にデータにアクセスし、自走できる環境を作ることが理想でした。
選定理由・決め手
『ラストクラウディア』でThinkingEngineを導入するに至った経緯を教えてください。
大元をたどれば会社としての方針があったのですが、私自身も導入には前向きでした。きっかけは、社内の別プロジェクトである『Critter Crew』で先行してThinkingEngineを利用していたことです。
『Critter Crew』の導入プロセスや実際の使用感を見て、私たちが抱えていた課題を解決できると直感しました。特に魅力的だったのは、散在していた情報をThinkingEngineという一つのプラットフォームにまとめられる点です。
また、マーケティング部の荒川がThinkingEngineを「すごく頭の良いVLOOKUPがたくさんできるツール」と表現していて、実際に触ってみると、非エンジニアでも使いやすいツールだと感じました。
特に『ラストクラウディア』の運営において、ThinkingEngineがフィットすると感じた点はどこでしたか?
海外展開との親和性の高さです。『ラストクラウディア』は33カ国・4言語で展開しており、国ごとにユーザーの動向やKPIは当然異なります。従来のツールでは、日本で見たデータを海外でも同じように見ようとすると、接続するURLやVPNが違ったり、単純にシートが分かれていたりと、とても手間がかかっていました。
ThinkingEngineであれば、管理画面上で簡単に国を切り替えて同じ指標を追うことができます。この点は、グローバルで運営している我々にとって非常に大きなメリットでした。
最後のひと押しになった「導入の決め手」は何だったのでしょうか?
やはり「エンジニアでなくても、慣れれば簡単に使える」という点です。特に私たちが最も頻繁に利用している「イベント分析」機能は、一度設定すれば、日付や集計期間の変更、あるいは分析対象のIDを変えるといった操作が誰でも直感的に行えます。
新しい分析軸でデータを見たいと思った時に、エンジニアに依頼せずともプランナー自身の手でデータを引き出せる。これは、チーム全体でデータ活用を広げていく上で、重要な要素だと考えています。
導入プロセスと運用体制
導入はどのように進められましたか?期間や体制についても教えてください。
導入するデータの種類によって、かかった期間は異なりました。例えば、ゲーム内のアイテム消費やキャラクターの利用状況といったデータは、導入から2ヶ月ほどで比較的スムーズに見られるようになりました。
一方で、最も時間がかかったのは、DAUやインストール数、リテンションレートといった、私たちが「Basic KPI」と呼んでいる基本的な指標の数値合わせです。私たちはもともとAdjustの数値を正として事業計画などを立てていたため、ThinkingEngineの数値と大きな乖離があると、意思決定に影響が出てしまいます。特にBot排除のロジックなど、Adjustの定義に合わせ込む作業には、ThinkingEngineのサポートチームと密に連携しながら時間をかけて調整を行いました。
導入プロセスでつまずいた点、逆にスムーズだった点はありますか?
つまずいた点で言うと、導入初期にサポート範囲の定義が曖昧になっていた時期があったことです。途中からサポートプランを明確に定義していただいたことで、質問の意図や定義のすり合わせがスムーズになり、そこからの導入作業は円滑に進みました。私たちとシンキングデータ社との間で、より強固な信頼関係が築けたと感じています。
スムーズだったのは、先ほども申し上げたゲーム内データの連携です。基本的なイベント設計さえ固まれば、あとは実装していくだけなので、比較的早い段階で分析に活用することができました。
現在の運用体制について教えてください。
現在、社内にThinkingEngineの担当者を1名置いています。私や他のメンバーが「こういうデータを見たい」と思いついた時にその担当者に依頼すると、早ければ当日、遅くとも2〜3日でレポートを作成してくれる体制です。新しい機能を追加する際は、開発タスクの中にThinkingEngineのイベント実装を組み込んでいます。
担当者は、過去に別タイトルでアシスタントプロデューサーを経験しており、数値に強いメンバーをアサインしています。
活用方法(ユースケース別)
日常的に最もよく使う分析機能は何ですか?
圧倒的に「イベント分析」です。シンプルですが、施策の効果測定において最も汎用性が高く、スピーディに結果を確認できるため、日々の運営でフル活用しています。

ThinkingEngineを活用して成果が出た、代表的なユースケースを教えてください。
一つは、新規ユーザー様向けの機能改善です。ゲームのストーリー進捗度に応じて、おすすめの商品を提示する機能を実装した際に、ThinkingEngineを活用しました。
「どの地点で」「どの商品が」「どれくらい購入されているのか」をイベント分析で可視化し、そのデータに基づいて商品の内容や提示するタイミングを見直す、というサイクルを回しました。これにより、新規ユーザー様の課金率が大きく向上しました。これは、施策の効果を素早くデータで確認し、次の改善アクションに繋げられた典型的な成功事例です。
PDCAサイクルが高速化した、ということですね。
まさしくその通りです。もしThinkingEngineがなかったら、この施策の成果を一つ見るだけでも、エンジニアに依頼し、データが出てくるのを待ち、それを加工して…とおそらく数時間はかかっていたでしょう。忘れた頃にデータが出てくる、なんてこともあり得ます。
ThinkingEngineを使えば、担当者が操作して10分か15分、早ければもっと早くに結果がわかります。このスピード感の違いが、改善のサイクル数に直結し、最終的な成果に大きな差を生んだと考えています。
成果
導入によって、主要KPIにどのような変化がありましたか?
具体的な数値は難しいですが、最も大きな成果は「課金率」が大幅に向上したことです。もともと『ラストクラウディア』は、一部のヘビーユーザーの方々による課金額の割合が高いタイトルでした。しかし、ThinkingEngineを活用して先ほどのような新規ユーザー様向けの施策などを繰り返した結果、より幅広いユーザー様に課金していただけるようになり、課金率が大きく伸びました。これは前年比で見ても、明確に大きく成長しておりました。
定性的な効果についてはいかがでしょうか?
仮説検証の速度が向上したことに尽きます。データ分析にかかる工数が劇的に削減されたことで、「施策を打って、結果を見て、改善する」という当たり前のサイクルを、これまでとは比較にならない速度で回せるようになりました。これがチームの自信にも繋がっていますし、よりデータに基づいた建設的な議論ができるようになったと感じています。

サポート・評価
ThinkingEngineの機能面で、今後改善を期待する点はありますか?
機能面で大きな不満はありません。強いて言えば、ダッシュボードに多くのレポートを配置した際の読み込み速度が、もう少し速くなると嬉しいです。
サポート体制についてはいかがでしょうか?
サポート体制の改善要望としては、マニュアルの充実を期待したいです。現状のテキストベースのマニュアルは、専門的な知識がないと少し理解が難しい部分があります。例えば、eラーニングのように、各分析機能の使い方を短い動画で解説してくれるようなコンテンツがあれば、より多くのメンバーが自発的にツールを使いこなせるようになるのではないかと感じています。
今後の展望
これから取り組みたい分析や、データ活用のロードマップについて教えてください。
現在はイベント分析に少し偏っているので、今後は「ファネル分析」や「フロー分析」といった他の分析モジュールも積極的に活用していきたいです。
例えば、新しいキャラクターが登場した際に、告知のダイアログを見てから、ガチャ画面に遷移し、実際にガチャを引いてくださったお客様がどれくらいいるのか、といった一連の流れをファネル分析で可視化することで、UI/UXの改善に繋げられると考えています。他のゲーム会社さんがやっているような高度な分析に我々も挑戦し、サービスのさらなる品質向上を目指していきたいです。
最後に、ThinkingEngineの導入を検討している方に向けてメッセージをお願いします。
ThinkingEngineの最大の強みは、エンジニアでない企画職のメンバーでも、スピーディにKPI情報を取得し、運営のPDCAサイクルを高速化できる点にあると思います。
また、私たちのように複数のツールにデータが散らばってしまっているチームにとっては、それらを一元管理できるメリットも非常に大きいです。データ分析の工数削減や運営の効率化を目指しているのであれば、ThinkingEngineは強力な選択肢になるはずです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。





